2013年7月16日火曜日

うまい話にご用心 (後編)



前回は良い点と悪い点を同時に伝える「両面提示」の方が説得力を持つということを書きました。

 
 またこんな実験があります。
 被験者をAとBの2つのグループに分け、
 Aには、ある考えについてひたすら賛成意見を聞かせ、
 Bには、たくさんの賛成意見に加えて、そのあとにちょっとした反対意見を聞かせました。
 この二つのグループに対して後日たくさんの反対意見だけを聞かせたところ、最初に反対意見を混ぜておいたBの場合のほうが、考えを変える可能性が低かったのです。
 
 このように、小さなマイナス情報を混ぜておくことで、後から生じる大きなマイナスに対して免疫がつくことを「接種理論」と言います。


よって、以上二つの理由から、あなたがビジネスでアピールする場合や口説こうとする場合は、とにかく小さなマイナス情報をくっつけておくことが大切になります。それだけで信憑性も上がり、また何かのハプニングの場合にも、それほど印象を悪化させることはないでしょう。

 また会話においては、最後に言った言葉がもっとも印象に残るものですので、話す順番は「マイナス」→「プラス」としたほうがいいでしょう。

 例えば次のように言ってみてください。
 ×「何があっても、絶対に君を幸せにする」
 ○「時には君のことを悲しませてしまうこともあるかもしれない。でも、絶対に幸せにしたいと思ってる」

 また一般的に、人は「相手の言葉」を聞くと安心します。
 通りいっぺんな長所・短所ではなく、あなた自身がどう思うかを伝えてみてください。
 
 具体的には、こんな感じです。
 ×「この商品は、長持ちしますし機能もいいんですよ」
 ○「この商品は、僕としてはちょっとデザインがイマイチかなと思うんですけど、でもすごく長持ちしますし、機能もいいんですよ」

 ×「僕が君のことを好きだと思う気持ちは、本当なんだ」
 ○「僕は自分でも適当なヤツだと思うけど、君のことを好きだと思う気持ちは本当なんだ」

 これだけであなたの説得のスキルは格段に変わるはず。 どうか試してみてくださいね。

 よって今回の話をまとめると、
 「マイナスをひた隠しにすると、かえって怪しまれる! 小さなマイナスをとにかく相手に伝えることで、結果的に最悪の事態を避けることができ、そして相手の警戒心を解くことができる! さらに可能なら、そのマイナスも『自分はこう思う』という感想で伝えるのがベスト!」

 これこそがスーパーメソッド「汚れたワクチン」!
 あなたの気持ちから出るマイナスの言葉は、相手の心を優しく包み込むワクチンになるんですよ。

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